給料はなかなか上がらないのに、社会保険料や税金はじわじわ増えていく。物価もどんどん上がっていく。こんな不安定な時代だからこそ、「このままでいいのかな?」と、将来に対するモヤモヤを抱えている方も多いのではないでしょうか。
住まいについても、その不安のひとつ。
よく話題になる「賃貸 vs 持家」の議論。結論が永遠に出ないこのテーマですが、人それぞれ、暮らし方や価値観、ライフステージ、住んでいる場所で変わってくなんて言ったら、話が終わってしまうので、ちょっと深掘り。
例えば大都会では、「買いたいけど買えない」がごく自然な現実。北九州市でも持家率は全世帯の70%弱と言われ、地方都市は、持家世帯が多い印象です。
よく検討される、【賃貸VS持家】の比較はこんな感じでしょうか。
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【賃貸】の特性
〇 転居や生活変化への対応が容易
〇 固定資産税や住宅ローンリスクがない
✕初期費用や更新費用、退去費用など現金負担がある
✕ 長期的に見れば、支払った家賃は全て消費に終わる(資産として残らない)
✕ 高齢期における住まいの確保リスク(貸主側の入居制限や更新不可など)
✕ 建材・設備グレード・広さなどの質が制限される
【持家】の特性
〇 資産として残る
〇 間取りや内装に対する自由度が高い
〇 住宅ローン利用時には団体信用生命保険(団信)に加入できるため、契約者に万一があってもローン残債が免除される仕組み
✕住宅ローンの金利不安
✕ 維持管理コスト(固定資産税・修繕費用・火災保険等)が発生
✕気軽に転居がしにくい
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賃貸には流動性と気軽さがありますが、老後を含めた長期的な視点では、資産形成の側面に課題があります。一方で、持家は安定感や自分らしさを得られる反面、すぐに住み替えができない点を気にされる方もいらっしゃいます。
物価は今後も上がり続けることを前提に、ここは、ちょっと声を大きくしてお伝えしたいことがあります。
「買えるチャンスがあるなら、一度購入を検討してみるべきです。」
そして、ご存じの通り、住宅ローンを利用するには一定の条件やハードルが存在します。
簡単にまとめると、
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▶ 年齢制限:借入時の年齢制限、完済時の年齢上限制限あり
▶ 健康状態:団体信用生命保険(団信)への加入が原則条件。持病がある場合や過去に大きな病歴があると加入できないことも
▶ 安定収入:一定の年収・雇用形態(正社員など)・勤続年数が求められる
▶ 信用情報:過去に借入の返済履歴に延滞・事故履歴がないか
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一般的に、住宅ローンは、個信と属性と物件担保の3つの軸で審査されます。
これらに該当しない場合は、住宅ローンが通らなかったり、団信に加入できずリスクが残るケースもあります。そのため、住宅を持つことを検討する際には、「物件選び」だけでなく、「属性、個信」も含めて現実的に見つめることが重要です。実際のところ、年齢を重ねるにつれて今より不安はきっと増えていくのではないでしょうか。
もし、「家を買う=高すぎて無理、将来不安で無理」ということで諦めているのなら、原石不動産(資産価値の見込める既存不動産)+リノベーションという選択肢を加えた上で、自分にとっての「ちょうどいい、必要な暮らし」を再定義してみるのもおすすめです。
大切なのは、多くのチャンスのある時に現実として考えてみる。「家を買うのは夢物語」と感じていた方も、選択肢と仕組みを知ることで、より自分に合った道が見えてくるかもしれません。
「暮らしを借りる」のか、「暮らしを築く」のか。あなたの人生設計に合った選択を「持つか、借りるか」だけではなく、どう持つか、どこに暮らすか、何を大事にするか。情報と条件を整理しながら、あなたにとっての最適な「暮らし」を描いてみてはいかがでしょうか。
そして、賃貸か持家か、選べるうちに、選んでおく。検討できるときに、検討してみる。十人十色。あなたと、あなたのご家族の一番いい選択になるように。