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暮らしのものさし【by:一美】

2025.07.03

最近、お客様とお話をしていると、「住まい」に対する価値観が少しずつ変わってきているように感じます。

かつては「家を買うなら、やっぱり新築」という考え方が主流でした。日本には、「新築こそが正解」という意識が根強く、築年数が古ければ古いほど、自然と選択肢から外されていたように思います。でも今、じわじわと、でも確実に、その新築神話が崩れ始めているように感じます。

たくさんの人が、ただ「新しいから」ではなく、「自分たちにとって本当に必要な暮らしとは何か」を考えはじめているようです。住まいは、モノではなく、生き方のうつわだということを、改めて見つめ直しているのかもしれません。

昨日、自宅の庭の草をむしっていたときのこと。きっかけは、小さな雑草が目に留まっただけなのですが、ほんのつもりが、猛暑の中にも関わらず、気づけば夢中になっていました。ふと軍手を脱ぎ、素手で土に触れてみると、しっとりとした土の温度に心がほどけるようで。子どもたちは小さな虫たちに夢中。隣ではお姫様たちの可愛い茶話会が始まりました。

我が家は、少し?いや、どっこいしょ、坂の上にあります。この話をすると、たいていの方が何となく気の毒そうな顔をされます。(きっと、車がないと不便ね、と思われているのかもしれませんね。笑)

でも、この場所が私は好きです。坂を上がった先には、日常からほんの少しだけ切り離されたような、静かな空気があるから。鳥の声が聞こえ、風がよく通り、空が遠くまで続き、草木の色が季節ごとに変わっていく。そして、北九州の街が一望。贅沢なパノラマビューなんです。イノシシもタヌキもサルもムカデもイモリも、ちょっとしたご近所さんです。

もちろん築40年を超えていますから、新築のような均質な美しさはありません。だけど、この家には、時間の分だけ、面白みや深さがあります。傷も、ムラも、少し曲がった金属サッシなど、暮らしとともに育ったかけがえのない表情があります。住宅地はゆっくりと時間を掛けて成長し、しっとりと落ち着き払っています。

そして、自分たちの感性が滲んだ空間で過ごす日々が、家族の時間に、確かな厚みをもたらしてくれている。そんな実感があります。

草むしりを終えた手は、ほのかなラベンダーの香りが残ったりして。コーヒーを淹れて、大好きなシュガーたっぷりのドーナツを頬張りながら、クーラーの効いたリビングで、あぁ幸せだわと、とろけました。リノベーションは効率では測れないけれど、確かにわたしたちを豊かにしてくれています。

だからこそ、今。とろけるような暮らしを探している方には、「リノベーション住宅」という選択肢も、ぜひ体験していただきたいと思います。もしかしたら、あなたの“暮らしのものさし”は、もっと素直で、もっと感覚的で、もっと自由なのかもしれません。

そして、最後に「土つながり」でもうひとつ。
私が手がけた、リノベーション建築作品が先日完成しました。ゆったりとした専用庭のある、リノベーション建築作品。季節を感じる緑、風の通り道、土に触れる心地よさ。それは、気付かずに通り過ぎていた、小さな自然との再会のような場所です。

あなたも土いじりをしながら、一緒に、これからの暮らしを楽しんでみませんか?

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