こんにちは。Suggieです。
朝陽に照らされた日本アルプスや富士山の雪化粧に心癒されながら首都へ行ってきました。
毎年1月末に東京藝術大学美術館で開催されている国宝現状模写披露会 及び 卒展の視察です。
朝の通勤ラッシュ時間帯に地下鉄を何本か乗り継いだのですが、都内は相変わらずの人の多さ。訪日外国人も多く、選挙戦真っ只中ということもあって賑わっていました。上野動物園は何だか少ない気がしましたが。。。
さてメインイベントの国宝現状模写事業披露会では、今年は3場面の完成作品を間近に見ることができました。
毎年恒例ですが2年がかりで描き上げた国宝現状模写の担当画家生解説付です。
初めてご覧いただく方のために改めて申し上げると、この国宝現状模写事業は東京藝術大学大学院日本画第三研究室が先輩方から脈々と受け継ぎ継承している国宝を後世に紡ぐための事業で、現在取り組まれている国宝信貴山縁起絵巻は残り3年くらいで完成(合計11年がかりの壮大なプロジェクト)。これまでに完成させてきた国宝源氏物語絵巻、国宝伴大納言絵巻と合わせて日本三大絵巻の現状模写が全て揃うという、歴史的な通過点に立ち会うことができるかもしれないスペシャルな事業です。
原本(平安時代)の絵巻が残っていることもすごいのですが、この国宝現状模写の凄いところは経年劣化をそのまま写しとる、まさに現状を模写するところだと思います。国宝は年間公開日数や展示照度などが厳しく制限されており一般にみられる機会が極端に少なく、模写したものが出来ることで公開されやすく、また海外展示も可能になります。
描かれた当時のものに限りなく近い岩絵具や道具を使って巻物のシワやシミや色褪せなどまで原本と寸分違わぬように写し上げていき、原本焼失や劣化のリスクに備えて世界に1つのvery very importantなスペアが出来るというスペシャルプロジェクトは応援せずにはいられません。
動物の毛を針の細さほどにして点描で墨や岩絵具で作業する緻密さや、描いた部分を洗ってわざとダメージを与えたりする技術など、1日作業して500円玉大ほどしか進まないそうです。
しかも150号(1号は約葉書サイズ)という背丈オーバーのどデカい卒業制作と同時進行で行う模写事業は苦行の極みのように素人考えでは思えますが、描いている当事者たちは国宝模写事業の技法や経験が修了制作や日々の制作に活かされたと熱く語っていました。その魂が宿った修了制作品は「美しい」という私の拙い言葉では言い表しきれない大作ばかりでした。
日本画研究室の解説をたっぷり聴いた後は、学内の建築や彫刻、油画や工芸などジャンルフリーで展示をゆっくり見てまわりました。
前川國男建築「東京都美術館」、六角鬼丈建築「東京藝術大学美術館」という美しい会場で、学生のうちから展示できる素晴らしい環境は、毎年個人的に羨ましく思っています。
工芸やインスタレーションなど分かり得ない作品もたくさんありますが、才能と個性がぶつかり合う素晴らしい環境で生まれた力作を見て、毎年こちらも刺激を受けています。
時代の流れを感じたのは、各作品展示とInstagramのQRコードがほぼセットで紹介されていたり、AIを駆使した動画や資料が多かった事。
また基本的には「お手を触れないでください。」という注意書きの作品展示が多い中で、逆に触ってくださいの作品は個人的に五感で吸収でき印象に残りました。
展示を観る合間に工芸研究室にも顔を出させていただき、建築と工芸の可能性をディスカッションすることができ、夜は日本画研究室助手の皆様と会食しながら日本画のことについて知識が深まる貴重な話をいくつもしていただくなど実りある1日となりました。
翌日は国会議事堂よこの国立国会図書館に文献調査へ。
前日の都美術館に続き2日連続で前川國男建築をどっぷり堪能。本館も新館も大変美しく重厚感のせい(?)か専門書架の奥の方は携帯電波入らなかったです。
国会図書館にしかない貴重な海外文献を調べることが出来ました。
毎年芽吹く若き才能たちに負けぬよう、インプットした感性を今後に活かしていこうと思います。
