こんにちは。Suggieです。(歴史の教科書に載ってそうなタイトルにしてみました。)
私が所属している 公益社団法人日本インテリアデザイナー協会(JID)が主催する「京の町家杉本家住宅見学とセミナー」及び同時開催の全国広報委員会会議が先日京都で開催され参加してきました。
まずは杉本家住宅という京都洛中最大規模の京町家に集合し見学とセミナー参加。
さすがは間口14間、奥行き16間というだけあって大きいのですが、道路側の店家は2階の高さを変えて、大きく見えすぎない、威張りすぎない、町に溶け込む工夫なのだそうです。
現在の建物は蛤御門の変の「元治の大火」のあと明治3年に再建されたものだそうですが、それでも築後155年の国指定重要文化財ということもあり素足厳禁。建具の開閉も原則不可。30名限定の入場制限もあり現状保存のためにしっかり管理されていました。
そしてさすがは公益社団法人のJIDと思ったのが、この日のために国指定重要文化財の京町家を貸し切り。
しかも杉本家の杉本節子さま及び、改修や保存の調査成果を研究されている京都工芸繊維大学の清水重敦教授の生解説付き。
贅沢すぎるスペシャルセミナーでじっくりと杉本家の歴史や建物の面白さを学ぶことができました。
ただ大規模なだけでなく時代とともに増築をしていたり、棟が分節された構成や平面がかなり複雑であったり、数寄屋風の意匠がみられるなど町家としては異例で複雑なところに見応えがありました。
京都の町家では結構普通らしいのですが、隠し階段や地下穴(防空壕)は個人的に幼少期に憧れた忍者屋敷みたいで好きでした。
竈は天然炭煙仕上げで黒光りしていて美しかったです。氷入れて冷やす昔の氷冷庫なんて鑑定団レベルのお宝ではないでしょうか。
その後、同じ京都市内の京都御所近くの別の京町家へ。こちらは特殊な和紙や障子が見られるショールームとなっており全国のJID会員が熱心に見たり質問したりしていました。
革職人がアレンジしたテーブルや特殊な襖紙、アーティストコラボなど個人的に親和性の高そうな製品もたくさんありました。
個人的に一番良かったのはヴィンテージ引手。螺鈿や蒔絵を施した博物館級の引手もありました。
その後、全国5エリアの広報委員長が集まっての広報会議に参加。いつもはオンラインで会う理事や広報委員長たちとリアルに会いながらしっかりと対話することができ、また1980年代のJID NEWSも譲っていただくことができ嬉しかったです。
これからも南日本エリアの魅力を全国へ伝えていきたいと思います。
翌日は新幹線までの限られた時間で数寄屋建築を見たかったので平安御所近くの無鄰菴へ。
格天井の意匠とか無垢床の貼り分け、開口部の意匠など見どころたくさん。
ずーっと見ているとだんだん僕らがコラボしているアーティストや職人さんを思いだしてきて・・・・
ディテールのこだわりはOLDGEARも伝統技法やアーティストたちとシンクロしながら目指さなければ!と思わされました。
新幹線の時間ギリギリでしたが原広司の京都駅ビルも久しぶりに拝めて、収穫たっぷりの2日間となりました。
JIDの活動や産学連携プロジェクトなど建築家や大学の先生方との触れ合いを通して、OLDGEAR一同もアカデミックな情報に触れあう機会が増えております。
また伝統技法や超絶技巧のアーティストたちから想像を超える「美」の刺激を得ています。
崇高な理念や文化的な価値を現在進行形で享受しながら、OLDGEARが日本の未来に少しでもプラスとなる建築作品を残していけたら本望です。