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芸術の秋【by:Suggie】

2024.10.25

こんにちは。Suggieです。

 

先日打ち合わせで東京藝術大学大学院日本画研究室を訪問してきました。

私がいろいろ質問責めをしてしまったせいもあるのですが、大変有り難いことに日本画研究室の皆様に直々に、日本画や道具についての特別講義のような形でお話をいただきました。

この場を借りて大変お忙しい時期に貴重な時間をいただいたことを改めて感謝申し上げます。本当にありがとうございました。

研究室でレクチャー頂いた内容全てはここでは書ききれませんが、その中で日本画で使う道具について少しご紹介します。

(講義で見せていただくような立派な道具を拝見しました!)

皆様は美術絵画の道具というと筆や絵の具を思い浮かべると思います。

日本画で使う筆は竹や木+動物の毛、絵の具は岩絵具とそのモノ自体は奈良時代から大きくは変わっていないそうです。ただその中でも何の動物なのか、夏毛なのか冬毛なのかにもよって硬さや筆が含む水分量などが変わるとのことで画家の皆様それぞれ使いやすいもの、お気に入りのものがあるそうです。

また大きな面で使う刷毛や連筆など日頃私はあまり目にしない稀少なものまで見せていただきました。

これらも柄が漆で塗られたものだと握りやすいとか握りにくいとか、刷毛と連筆では端の水分量や筆跡が異なるなど個人的な好みや感覚も分かれるようで、芸術分野の中でも研ぎ澄まされた感覚で描く「画壇の偉才達の発言は奥が深い」と聴いていてただただ感心するばかりでした。

また岩絵具についても稀少な天然群青や松葉緑青などを見せていただき、さらに鉱石の粗さによって番手が異なることも教えていただきました。岩絵具についてもそれぞれの先生方で好みやよく使う色・番手などそれぞれ異なるそうです。

世界でも岩絵具の取り扱いはあるそうですが、粒子の大きさごとに細かく番手を分けているのは日本だけだそうです。

日本画の繊細さが世界でも際立つわけですね!

あとは岩絵具を和紙に密着させる膠(にかわ)も何の動物かで粘度やつき具合が変わるそうで、要は筆も、岩絵具も、膠も、その時にアーティストが絶妙な配合と道具の掛け算で生まれた偶然の産物。それを細い筆の中の命毛という筆の中心の何mm(何ミクロン?)級に細い先端毛のタッチで自分の脳で思い描いた感覚が手や指を通してキャンバスに落とし込まれるわけです。

我々がリノベーション建築作品とコラボレートさせて頂いている院展入選作品は、それはもう天文学的な奇跡の作品なのだと、改めて画材の取り扱いが難しいとされる日本画の奥深さを痛感しました。

その後研究室のご紹介で岩絵具や筆の専門店「得応軒」へ。

この得応軒さんは日本画界や墨の世界では有名なお店とのことで、かの横山大観や歴代の偉大な先輩方も訪れている名店だそうです。

(さらりと歴史上の人物が出てくる日本画研究室の凄さよ。。。よくよく考えてみたら東京藝術大学の周りには日本美術院もあるし有名な先生もお住まいだし歴史が紡がれて繋がっている地だなと実感します。)

たっぷり岩絵具について教えていただき岩絵具の羅列がただただ美しくご飯が食べられそうでした 笑 )

その後、この春まで東京藝術大学大学院日本画研究室に在籍されていた岩谷晃太先生と合流し岩谷先生のアトリエ近隣を散策。歴史的な場所や寺社と日本画は接点があると改めて感じました。

岩谷先生のアトリエでは、セレクトされている特別な手彫り額や岩谷さんがお爺さまから譲り受けた墨壺などこだわりのアイテムを見せていただき貴重な機会となりました。

翌日は頭を切り替えて建築・空間デザインのインプットを求めに。私が卒業設計の際に建築事例を研究した世界的な設計事務所「ヘザウィック・スタジオ」の最新作の一つ「麻布台ヒルズ」へ。

このリボンのように見える軽やかなデザインも、近寄って見ればみるほどその納まり方や施工側の苦労を察することに。

内外デザインや地形を活かしたフロア構成など目を惹くものを心に留めながら帰路につきました。

羽田空港でも再度東京藝術大学の繋がりを感じ、私たちOLDGEARが北九州で現在進行形で取り組んでいる活動もまた歴史の中にその足跡を残しているかもしれないと思いワクワクを再認識。改めて関係者の皆様とのご縁と取り組みに感謝です。

東京藝術大学大学院訪問の翌週には、これはまた同大学大学院の油画を修了された沼田愛実先生とお会いしてお互いの近況報告や先生の最新油画や過去の大作を拝見してきました。(こちらのプロジェクトは改めて別でご報告します!)

 

図らずも二週連続で芸術の秋となり、あとは実りの秋とするべく日々の業務や将来ビジョンをブラッシュアップして結実させていかなくてはなりません。

日々の課題や問題は山積(いつか片付くのか??)していますが、ご縁を頂いている身の回りのスーパーアーティストや素敵な境遇に感謝して、これからも研鑽を積んでいきます。

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