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凝縮した水分が残す軌迹。光と潤いのスペクトル。【by:一美】

2021.12.10

私は雨上がりの空が好きです。
透明感がます、ピタリとはりつくような空気の中で、陽のひかりに反射してピンク色に染まっていく雲に、気持ちが、世界が、なんだか一瞬洗われた気がするからです。
そして、陽の傾きでキラキラと揺れる光のスペクトルに空想の世界をみているからかもしれません。

この度、リノベーション・オブ・ザ・イヤー2021で「凝縮した水分が残す軌迹。光と潤いのスペクトル。」が審査員特別賞 アートリノベーション賞を受賞しました。力を貸していただいた皆さまに心より感謝申し上げますm(_ _)m

この建築作品を担当する私は、特別な思いがありました。
OLDGEARが展開するArtctuary🄬は、空間芸術として、画家の先生に特別にに描き下ろして頂いた絵画を忠実に拡大転写させ、壁紙と対にしてして唯一無二の作品として誕生させてきました。私はそれをまた違った空間美として、チャレンジできないものかと考えていました。

………


日本画家の張彬文先生のポートフォリオの中で、ある作品に目が奪われました。
タイトルには『』とだけ書かれており、柔らかな色彩で描かれた作品は、形があるようでないような、止まっているようで流れているような。
何をモチーフにしているのかすぐには分かりませんでしたが、私の好きな感覚でした。
そしてそれは、儚くても強いものだということは、わかりました。
子供の頃に結露したガラスに指先で落書きして遊んだ、あの柔らかな記憶が一瞬私の心を触れました。
あっ、雫だ。私の好きなスペクトルだ。

その後、張彬文先生に『』は無題であるけれど、雫がモチーフであることを聞いて嬉しくなりました。


硝子はなんだか雨上がりの空気に似ている気がします。
南側に専用庭を持った本邸は、中部屋にも関わらず、十分な採光が部屋いっぱいに広がります。

建築作家のIGDesignの入門宏樹さんは三代続く硝子施工の技術を継承する若き担い手で、代々磨き上げられてきた硝子施工の結晶が誰にも真似できない一邸をつくりあげ、作品を見るたび、私はいつもドキリとさせられます。

空間に、雨上がりのような世界を描けたら。
画家の張彬文先生とIGDesignのコラボシナジーを想像すると、胸が高鳴りました。
Artctuary🄬をガラスで表現する-。これだと思いました。

転写技術は、グランド印刷株式会社の白石さんにお任せすると、間違いありません。
白石さんは言葉の節々から丁寧さが滲み出ていて、いつも安心してお任せできます。
透明フィルム転写はArtctuary🄬初の試みですから、フィルム転写のイロハをこの日も丁寧に教えていただきました。

壁紙とは違い、透明フィルムはどのように絵画が転写されるかはわかりませんし、ひかりの差し込みや照明によって、どんな表情になるのかもわかりません。
それでも嬉しかったのが、入門さんも、張先生も白石さんもこの「チャレンジ」を楽しんで、私を信頼して委ねて頂いたことです。
そのことが素敵な建築作品として誕生できた理由です。そして完成した建築作品は私たちの想像を遥かに超えたものでした。
ガラスに転写されたArtctuary🄬は透明感とニュアンスを程よく持ち合わせ、キラキラと揺れる光の不思議さに、私はすっかり空想世界の心地よさを感じていました。

そして光栄なことに「アートリノベーション賞」という賞まで頂きました。
「アート」+「リノベーション」という賞タイトルを実はとても気に入っています(*^-^*)

Artctuary🄬をOLDGEARが発表して、画家の先生方と対話し芸術に触れる機会に恵まれている私は、最近アートが与えてくれる「何か」に癒されている自分に気づき始めています。
それは、まるで雨上がりの空を見上げてるようですー。

〈 Spesial thanks ♡〉

IGDesign
日本画家 張彬文 先生
グランド印刷株式会社
 

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