小倉北区下到津にある築後36年の12階建のマンション。本建築作品は11階部分に位置し、JR九州の小倉総合車両センターと足立山を望む小倉の都心部でも限られた景色。

特に歴史を感じる赤煉瓦造りの向上と小倉の街の向こう側に見える足立山をイメージしてデザイン。

工場とモルタル。都心でありながら自然。ナチュラルな中にもクールな印象を与えられるように。

その空間に沼田愛実さんの描いた「見えない星」がArtctuary🄬としてリビングの壁画に転写され、落ち着いたアート空間が完成しました。

〈デザインポイント〉旅先で訪れたホテルのような空間。グレーとベージュが織りなす柔らかい落ち着いた空間に映し出された沼田愛実氏の作品。描き下ろされた絵画と山々が広がるロケーションに馴染ませることを意識し色味を統一した空間づくりを行いました。

〈設計ポイント〉洗面の中にトイレがある既存間取りを活かすために、ホテルライクなパウダールームの提案を行いました。洗面カウンターでもメイクアップも楽しくなるような空間に。また機能面では、電動室内物干し（ホシ姫サマ）を取り入れ、浴室＋αの室内干し容量に。Panasonic社製の収納力溢れるシステムキッチン＋カウンターをモルタルで覆うことで機能性とデザイン性を兼ね備えたキッチン空間に。床材には、モルタル空間に馴染むグレー色の木目を選定し、一貫してグレーとベージュトーンのみで仕上げました。空間の広さを与えるために、ハイサイドガラスと鏡で視覚的ゆとりを作りました。

「我が上の星は見えぬ」ということわざがある。今、自分自身のことはわからないけれど、後にその歩いてきた道を振り返ると、不思議と点は線となり、物事は繋がっていたことが理解できる。そしてその点は、人との出会いであったり、一見そうとはわからない、小さな小さなチャンスであったりする。

人生は旅だ。

歩き続け、見えない星に手を伸ばし続ける者のところに、幸運はきっと訪れる。