産学連携プロジェクト第20弾
九州産業大学芸術学部生活環境デザイン学科 安齋研究室
社会の規則や固定観念に捕らわれない学生の柔らかなアイデアと
OLDGEARの厳選素材がどんな化学反応を起こすのか。
大学研究室のカリキュラムの1コマとして、現場で実体経済に触れる機会を設け、
枠を超えた斬新で面白い次世代の発信がここから始まります。
設計趣旨(安齋哲教授からのメッセージ)
元々が少し複雑な平面形状の区画でかつ外部に面した開口部が比較的少ないという特徴の部屋のデザイン・リノベーションです。改修前に現地調査をした際に、奥まったところはどうしても暗くなってしまうなと思いました。照明のアイデアで解決することも考慮に入れつつ、日中はやはり外光を生かしたインテリア空間にしたいと思いました。暗いエリアが生まれるのならばその暗さを楽しめるようなインテリアにしようと考えました。そこでちょっと閉鎖的だけど落ち着く気持ちになれる「あなぐら」というアイデアが生まれました。素材感は主に木で、ナチュラルな優しい色合いにしています。あなぐららしさを表現するため、床壁天井がなるべく似た印象になりまた木の質感で包み込まれるような気持ちになる形状をイメージしました。壁面や天井の面のわずかな角度の変化で単調でない空間を作り出しています。床に座って佇むと不思議と落ち着く気がします。
もう一つ考えたのは空間の連続性と奥行きを感じられることです。個室として使えるスペースを3部屋設けることが条件でしたので、二部屋は引き戸で分けたり繋げたりできるようにしています。ベランダと接した部屋とリビング・ダイニングの部屋との間は模様に特徴を持たせた透明な引き戸で区切られています。もう一部屋とは同じデザインの木製の引き戸にしています。これらを開閉することで部屋の奥行きや広さ感が変わり、空間の変化を日々楽しむことができます。このスペースに隣接したキッチンは対比的に白とグレーを基調にした少し無機質で若々しい感じを意識してデザインしました。白い壁はそのまま奥のもう一つの個室へと繋がっていきます。
照明デザインでも、これらの空間のコンセプトがより強調され、日が暮れてからも空間の心地よさを楽しめるように考えました。バルコニーの窓にはブラインドが付きますが、ブラインドを間接照明で照らすことで美しい光のグラデーションが奥行きを強調します。スポットライトはあなぐら空間の特徴的な天井の様子を意識させます。ダウンライトは光の向きを変えられますので家具の配置や使い方に応じて照らし方を微調整できます。主な照明には調光機能がありますので暗めの落ち着いた雰囲気も楽しめます。キッチンでは天井に向けた間接照明によって活気を作り出しています。玄関には足元の間接照明でわずかな非日常感を演出しています。
室内の造形と照明によって、ここでしか感じることのできない豊かな空間と時間体験を楽しむことができる住まいになっていると思います。
所在地 | 福岡県北九州市小倉北区 |
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間取 | 3LDK |
専有面積 | (壁芯)72.78㎡ |
築年月 | 昭和63年6月 |
構造 | RC造5階建 |
向き | 南 |
設備 | エレベーター |