Property Details

Message from the creators

お施主様より「独立して美容室を開くので物件探しからお願いしたい」という相談を受けてから１年以上物件を探し続け、ようやく実現したリノベーション。

従前の店舗がライブバー＋飲食でしたのでイメージも設備も180度変える必要がありましたが、立地や広さなど条件が揃っている素材不動産と出会い実現したプロジェクトです。

お施主様ご夫妻のセンスの良さ、嗜好は打ち合わせていく中でイメージが固まっていましたので、あとは機能性とデザイン性を両立させ自然光が活かされる店舗づくりに全力を注ぎました。

いざ解体工事がはじまると予期せぬ給排水経路や前店舗の予想外な下地などが出てきます。リノベーションではあるあるですね。テナント入口の防火戸がなぜか木製だったり窓が塞がれていたりと様々な法規をクリアするための工事にも予算をかける必要がありました。

シャンプー室は柱型に合わせたオーダー収納家具をビルトインし、タオル類やクロスの取り出しが使いやすいようミリ単位で設計。ラッチやコンセントなど見せない部分にもこだわりを詰め込みました。シャンプー中は、洞窟のように没入できリラックスできる全体の雰囲気と、施術側がカラーの色味などを確認できるよう演色値の高い照明やメンテ性を考慮した床材の選定などを盛り込んだ空間としています。
（今回導入しているシャンプー台は足元ヒーターも入っていて秋冬のシャンプーはさぞ気持ち良いんだろうなぁと何回も寝ころびたい衝動に駆られましたが、もちろん必死に我慢しました。）

カラー室は店舗入口からも見える配置となるため、アーチ開口＋オーダーリネンカーテンでデザイン性を持たせながらも、２連の深型シンクにカラー色味が見やすい手元灯など機能を詰め込んでいます。

店舗ファサードやカウンターは塗りの質感と無垢材、店舗ロゴや真鍮パーツとの対比が美しくなるように配置。人の手が良く触れるカウンターやベンチなどの無垢材にはガラス塗料仕上げとし経年変化にも耐える機能を持たせています。

また無垢材部分と同様にセット面やキッズスペースなどの木部は特に面取りを手作業で丁寧に行い番手の異なるペーパー掛けを細かく行っています。地味な作業でわかりにくい部分ではありますが、“手仕事の温かみは細部に宿る”と言い聞かせて棟梁がいつも気合いを入れる部分です。

美容師さんごとに異なる取り回しやすさもヒアリングし、ドライヤーやコテなどのコンセント位置や、営業終了後のワゴン位置（充電位置）なども落とし込んでいきました。

セット面には演色値の高い照明器具が必要で予算が取られる部分ではありますが、お店の肝となる部分。動線計画と合わせた照明計画としています。

独立するという新たな船出のエネルギーに対して、我々も見えない部分まで全力で応えました。今後この店舗からたくさんの笑顔が生まれる場所となり１人でも多くのお客様が訪れる空間になって欲しいです。enneさんから繋がる縁にご多幸をお祈りいたします。

After Renovation