プロジェクトメンバー

《37design メッセージ》

私たち 37design は鹿児島で主に戸建て住宅の設計・施工を行っています。 
自然を生かし、のびのびと暮らせるような家づくりを実践しています。 

今回の高層マンション 8 階に位置する対象物件を見に行った際にまず感じたことは、外が遠いということです。 
隣棟間隔は確保されていて、空へと視線が抜ける部屋であるにも関わらず、引き違いのサッシのみで内と外がバッサリと隔てられ、外の空気を味わうためのゆとりの無さや心理的な遠さが気になりました。 
外部環境との接点となるベランダは、奥行が浅く洗濯物を干すとスペースが埋まり、気候の良い日に椅子を出して読書をしようにも、隣室とは簡素な間仕切壁でプライバシーが確保されていないため、とても過ごしやすい空間とは言えないでしょう。 
そこで私たちが提案するのは、ベランダ（外）と部屋（内）をつなぐインナーテラス（半屋外空間）で、外との距離感をデザインするということです。 
外履きで使える空間をベランダ側に設けることで、既存サッシを開け広げれば奥行 3.5ｍ程の外空間として利用できます。サイドテーブルや椅子、観葉植物等を置いて、アウトサイドリビングの様な使い方も良いでしょう。インナーテラスと居間の間には障子を走らせました。障子の開け方によって外との距離感を調整でき、壁の中に引き切れば大開口にもなります。 

その他にも、足触り良く柔らかい杉の浮造加工の床板、100％天然素材で調湿・消臭などの効果がある左官壁、小幅風無垢杉の天井板、限りある面積を美しく機能的に使いこなすための引込戸と回遊動線など私たちがこれまで実践してきた中で採用してきた素材、考え方を随所に散りばめています。 
自然由来の素材たちと、外でも中でもない曖昧な空間が、あたたかい光、さわやかな風、しとやかな雨を取り込み、暮らしをより豊かにすることでしょう。

経 歴 

味園 将矢 

1985 年 鹿児島生まれ 
2009 年 鹿児島大学建築学科卒業 
2011 年 同大学院修士課程修了｜木方研究室 
2011 年 工務店入社 
2018 年 独立 

桑原 建大 

1994 年 鹿児島生まれ 
2016 年 山口大学感性デザイン工学科卒業 
2018 年 同大学院修士課程修了｜内田研究室 
2019 年 37design 入社 

受賞歴 

2007 年 インテリアプランコンテスト 『モイスト』 優秀賞 
2009 年 日本建築家協会鹿児島会賞 『まちの教会』 銀賞 
2009 年 かごしまデザインコンペ 2009 『都市のプランター』 デザイン大賞 
2009 年 タチカワブラインドカラーコーディネートコンテスト 『桜島 -降灰-』入賞 
2009 年 日本建築家協会鹿児島会賞 『木塊』 銀賞 
2010 年 TEPCO インターカレッジ選手権『ジェンダーを考える家』 佳作 
2010 年 夢・アイデア交流会 『つながる無人販売所と大きな屋根』 優秀賞 
2011 年 日本建築学会 優秀修士論文賞『土木技師・梶山浅次郎の業績と鹿児島市戦災復興都市計画』 
2017 年 『近代日本の空間編成史』(思文閣出版)分担執筆 

《OLDGEAR 杉 佳亮 メッセージ》

小倉北区大手町エリアは、北九州市内で住環境の整った人気のエリアです。
小倉市街地まで１ｋｍ程度の好立地で公官庁や商業施設、公園が近いことから、子育て世帯、DINKs、シニア世帯、お一人様と多様な世帯がお住まいです。

本邸は、鹿児島県で『役割を果たした建物を次の可能性とマッチングして、新しい風景を創っていく』を合言葉に活動されている37designの味園先生とOLDGEARの初コラボリノベーション建築作品として生まれ変わりました。

味園先生との出会いは、約５年前に遡ります。とあるご縁で先生の建築作品を拝見して、その推敲された空間の魅力に触れました。
細部まで熟考された美しさ。これから一緒に時を過ごす住人が、その空間を育てていく楽しみ。
設計・施工と日々向き合っているからこそ嘘がつけない建築の魅力を、最大限に表現する設計思考に引き込まれました。

本邸は、自然素材の塗り壁、浮造りの無垢床、無垢の天井材などのおかげで、マンション特有の空気が留まったようなものではなく、まるで呼吸するように生きた空間です。
十分にとった南側のインナーバルコニーの内障子が採光を柔らかにコントロールし、用途を住まい手が選択できるようになっています。

塗壁に取付られたブラケット照明のあかりは、塗り壁のアンニュイな表情をつくってくれます。
完全に引き込むことができるオーダー建具や、綿密にデザインされた障子の桟、組み合わした真鍮が放つ輝きは、美しく、住まい手と共に時間の変化を愉しんでいくことでしょう。

手足のように部屋の隅々まで感じることができる「五感の家」。
丁寧な暮らしを大切にするお一人様、お二人様に。
素で感じることの心地よさをご体感ください。